このページではプレス加工の曲げ加工に焦点を当て種類や注意点などを説明する。
曲げ加工はプレス加工の中でも基本的な加工の一つで広く利用される工法である。
曲げ加工の中でも様々な種類があり主なものを紹介する。
V字形状に曲げる加工。V曲げの原理は材料にパンチが荷重を加える力点とパンチの両側にダイ両肩が支点として支え成形される。
U字形状に曲げる加工。パンチ、ダイの形状がそれぞれU字形状になっており材料を挟み成形する。
L字形状に曲げる加工。V曲げと似ているが上型のストリッパで材料を押さえ成形部をパンチで曲げこんでいく。Ⅴ曲げより精度を出すことができる。
Z字形状に曲げる加工。上下の金型をそれぞれZ形状に加工したものを材料に投入し成形する。
ハット曲げは名前の通り帽子型の形状に成形する加工方法。一度に全加工する場合や曲げ工程を分けることもある。
曲げ加工はプレス加工、板金加工それぞれ一番利用される加工方法で、棚、家具、電化製品、自動車、建築部品など身の回りでたくさん利用されている加工方法だ。
求める用途に応じて上記の加工を組み合わせたりする。例えば低コストに押える場合はL曲げよりⅤ曲げを選択する。順送加工ではⅤ曲げよりL曲げを選択するなどさまざまな組み合わせを使う。また板金加工の曲げ加工では曲げ長さのある製品を曲げることができプレス加工の曲げとは違った特徴を持っている。
曲げ加工ではこれらの幅広い加工から製品に合った最適な方法を選択していかなければならない。
曲げ加工には上記に説明したさまざまな種類があるが一般的に利用されるⅤ曲げ、L曲げを中心に説明する。
Ⅴ曲げ加工を行う場合、材料に対して直線的に加工していくが曲げた材料に対して圧縮応力と引張応力がかかる。それにより材料内側に材料が張り出し、材料外側は引張られ「なだらかな形状」になる。この現象により外形寸法の不良に繋がったり、外R寸法が狙い通りでなかったりすることもあるので、曲げ加工における技術と経験が重要になる。
またプレス加工材料には裏表があり、「だれ」と「バリ」の方向がある。バリは大きくなると製品として有害なだけではなく、バリ方向が曲げ外側にあることで加工したときに材料の割れが発生することがある。そのため材料の表裏に関しても注意しなければならない。
さらに曲げ加工でよくある現象として「スプリングバック」がある。これは加工後の圧力が抜けた後、形が元に戻ろうとする現象で弾性回復ともいう。主に薄板で発生しやすいがストライキングなど対策をしなければならない。