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金属レーザーマーキングの製品例を紹介!印字の種類・マーキングに適した材料・加工用途などまとめて解説

金属レーザーマーキングの製品例を紹介!印字の種類・マーキングに適した材料・加工用途などまとめて解説

 

               

金属のレーザーマーキング技術は、その非接触性、永続性、および高精度なマーキング能力により、多くの産業で中心的な役割を担っています。

レーザーによるマーキングは、耐久性が要求される環境での使用に特に適しており、航空宇宙から医療、自動車産業に至るまで、広範囲にわたる用途で信頼されています。

この記事では、レーザーマーキングの基本的な原理や、マーキングに適した材料加工用途印字の種類など解説していきます。

当社での製品加工例もご紹介していますので、ぜひ、参考にしてください。

レーザーマーキングとは

レーザーマーキングは、レーザー光を照射して金属の表面を微細に変化させる高精度の加工技術です。

溶解、焦がし、剥離、酸化、削り、変色といった反応を利用して、金属にロゴやシリアル番号などの刻印を施します。

印字が半永久的に持続するため、産業界での製品追跡や品質管理はもちろん、一般消費者向けの商品にも活用されている技術です。

▼レーザー加工に関する記事は下記をご確認ください

レーザー加工の実例を紹介!基本原理・メリット・課題解決まで徹底解説

金属へのレーザーマーキングの刻印は半永久的

金属へのレーザーマーキングの刻印は半永久的

レーザーマーキングは、耐久性があり金属への刻印が半永久的という特性から高く評価されています。

レーザーマーキングは、レーザー光を利用して金属表面に直接作用し、彫刻化学的変化を引き起こします。

結果として、摩耗、腐食、温度変化に強いマーキングが完成し、製品の寿命が尽きるまでその情報が維持されます。

特に産業用途では、製品の追跡や真正性の証明が必要な場合、この技術の役立つ範囲が広がります。

金属刻印のためには、適切なレーザー(YAGレーザー、ファイバーレーザー、CO2レーザー)の選定が重要であり、材料の種類や目的に応じたレーザー選びが求められます。

レーザーマーキングの刻印の深さは?

レーザーマーキングの刻印の深さは材料によって異なります。

例えばでは10~50ミクロン(μm)アルミニウム5~30ミクロンの範囲が一般的です。

チタンの場合、20~60ミクロンの深さを実現可能で、その硬さと反射率に適応した特別なレーザー設定が必要になります。

また、プラスチックの一種であるABSでは、20~150ミクロンの深さが可能です。

これらの数値は、レーザーパラメーター材料の特性用途に応じて最適化されます。

金属へのレーザーマーキングに適した材料は?

レーザーマーキングには特に適した金属があります。ステンレス鋼アルミニウム陽極酸化アルミニウムチタンチタン合金真鍮などがその主な例です。

これらの材料は、高い耐腐食性や特定の熱伝導特性を持ち、レーザーによる精密なマーキングが可能です。

材料 特徴 利用される製品例
ステンレス鋼 高耐腐食性、高耐久性 医療器具、食品加工機械
アルミニウム 軽量、高反射率 消費電子製品、自動車部品
陽極酸化アルミニウム 表面硬化、美観向上 装飾品、スマートフォンカバー
チタン 高強度、軽量、耐腐食性 航空宇宙部品、医療インプラント
チタン合金 強度と柔軟性のバランス スポーツ用品、航空宇宙部品
優れた電気伝導性、熱伝導性 電子部品、電気回路
真鍮 加工しやすく、耐食性 装飾品、楽器、カスタムハードウェア

​​それぞれの材質に関して詳細を確認していきましょう。

ステンレス鋼

ステンレス鋼は、耐腐食性高い強度が特徴で、レーザーを使用した刻印や彫刻が非常に鮮明に行えます。

レーザーマーキングは、ステンレスの表面に高精度で耐久性のあるマーキングを施すことが可能で、医療機器や自動車部品、食品加工機械など、多岐にわたる産業で広く使用されています。

アルミニウム

アルミニウムも、軽量性と優れた熱伝導性から、レーザーマーキングに非常に適した材料です。

アルミニウムの表面はレーザーによる刻印でクリアなマーキングを実現し、視認性が高く、長期間その品質を維持します。

特に航空宇宙産業や自動車産業での部品識別やトレーサビリティ向上に活用されています。

陽極酸化アルミニウム

陽極酸化アルミニウムは、表面が特殊な処理を施されたアルミニウムで、レーザーマーキングに適しています。

レーザーマーキングによって表面が硬化し、耐摩耗性が向上するため、レーザーによる刻印がより明瞭で耐久性のあるものとなります。

陽極酸化処理された表面は、レーザー照射によって色調の変化が生じやすく、これを利用し多彩なデザインが可能です。

製品の識別や装飾的な要素を加えたい場合にも有効で、電子機器のボディや装飾品など、細かなディテールが求められる用途に広く利用されています。

チタン/チタン合金

チタンおよびチタン合金は、強度と軽量性、高い耐腐食性のある材料で、航空宇宙産業や医療器具の製造において価値があります。

チタンの光学的特性と熱伝導性がレーザー照射時の刻印品質を高め、清潔かつ明瞭な印字を実現します。

銅は、独特の色合いと優れた熱伝導性のある材料です。

銅は熱を素早く拡散するため、レーザー刻印には特別な注意が必要ですが、適切なパラメータ設定により精密で美しいマーキングが可能です。

電気部品や装飾品など、様々な産業で広く使用されており、レーザーマーキングは製品識別や装飾的な要素の追加に利用されます。

特に、ファイバーレーザーやYAGレーザーを使用することで、銅上に鮮明で耐久性のあるマーキングを施すことができ、彫刻は製品の美観と機能を高めます。

真鍮

真鍮は美しい金色の光沢で知られ、レーザーマーキングにおいても優れた素材です。

真鍮は柔らかく加工しやすく楽器、装飾品、家具の金具など、幅広い用途に適しています。

真鍮へのレーザーマーキングは、コントラストが高く耐久性のある印字を生成し、製品の美観を損なうことなく、長期間その情報を保持することができます。

特にファイバーレーザーやCO2レーザーを活用することで、細部にわたる繊細なデザインが施されます。

金属レーザー加工の用途

金属レーザー加工はその精密さと柔軟性で、多様な産業で重宝されています。

表札ネームプレートの製作においては、個々のデザインに応じた緻密な文字や模様を金属に刻印することが可能です。

宝飾品業界では、個別の識別番号や繊細な装飾を施すことが求められ、レーザー加工がそのニーズに応えます。

また、電子機器の部品には、小さな部品でも読み取り可能なマイクロ印字が必要とされ、レーザー技術が不可欠です。

さらに、高精度が求められる医療器具の製造にもレーザー加工が用いられ、患者安全に直結する重要な情報を刻印しています。

▼その他の加工用途例は下記のとおりです。

産業 用途 利点
自動車産業 部品マーキング、カット、溶接 精密加工が可能で、生産効率の向上に寄与
航空宇宙 コンポーネントの製造、識別マーキング 耐久性と精度が要求される部品に適用
医療 インプラントや外科用器具のマーキング 滅菌処理に影響せず、永続的なマーキングが可能
電子 回路板のカット、部品の識別 高い精度と再現性が求められる場面で有効
工具製造 工具への識別コードやロゴの刻印 摩擦や腐食に強いマーキングが可能
宝飾品 装飾や識別マーキング 繊細なデザインの適用が可能
消費財 家庭用品や装飾品へのカスタムデザイン 個別カスタマイゼーションに対応

代表的な刻印機と金属刻印の向き不向き

レーザータイプ 適合する金属 特性 メリット デメリット
YAGレーザー 鉄、ステンレス 高い浸透力 耐久性のあるマーキング 設備コストが高い
ファイバーレーザー 広範な金属適用 高速・高精度 効率的で精密な加工 初期投資が高い
CO2レーザー 非金属も含む 柔軟性 幅広い材料への適用 金属加工では制限あり

金属レーザー加工には主にYAGレーザー、ファイバーレーザー、CO2レーザーが使用されます。

YAGレーザーは鉄やステンレス鋼に適しており、ファイバーレーザーはその高速性と精密性で広範な金属に適用可能です。

一方、CO2レーザーは非金属にも対応できる多様性を持ちます。それぞれ詳細を解説していきます。

YAGレーザー

YAGレーザーは、強力なビームと高い浸透力により、特に硬質金属への刻印に適しています。

ステンレス鋼や鉄などの重厚な材料に深いマーキングを施す能力があり、産業機械や自動車部品の識別など広く使用されています。

メリットとしては、耐久性と精密さが挙げられますが、デメリットとしては設備コストが比較的高い点があります。

ファイバーレーザー

ファイバーレーザーは、その高いエネルギー効率と精度により広範な金属加工で利用されています。

特に細かなディテールが要求される高精細なマーキングに最適で、ステンレス鋼やアルミニウム、銅など様々な金属に対応可能です。

メリットとしては、低い運用コストとメンテナンスの容易さが挙げられますが、初期設備投資が高い点がデメリットです。

CO2レーザー

CO2レーザーは、その汎用性と広い材料適応性で知られています。

主に非金属へのマーキングに優れていますが、特定の金属加工にも適用可能です。

特徴は、レーザーの波長が長いため多様な材料に対応でき、非常に細かいディテールの刻印が可能です。

一方で、金属加工の場合、他のレーザータイプと比較してパワーが必要になるため、効率が低下することがデメリットとされます。

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金属への印字の種類

種類 特徴 メリット デメリット
黒色印字 高コントラストの酸化層形成 読み取りやすく耐摩耗性に優れる 特定の金属でのみ効果的
白色印字 金属の白変反応を利用 暗色の金属で視認性が高い 白変の均一性に依存
彫り込み印字 物理的に金属を削る 深く永続的なマーキングが可能 加工に時間がかかる
表面層剥離印字 表面層をレーザーで削除 非常に精細なデザインが可能 表面保護層の除去による腐食リスクがある

金属へのレーザーマーキングには、黒色印字、白色印字、彫り込み印字、表面層剥離印字といった異なる方法があります。

それぞれの印字技術は、用途や目的に応じて選ばれ、各々異なる特徴・メリットを持っています。

黒色印字

黒色印字は、レーザーを使用して金属に酸化反応を促すことで、鮮明で耐久性のあるマークを作成します。

特にステンレス鋼チタンなどの材料に効果的で、読み取りやすく、長期間その視認性を維持します。

黒色印字の最大の利点は、高いコントラストと摩耗に強い性質にあり、産業機器の識別タグや医療機器に広く用いられています。

また、製品の追跡と管理を効率的に行うための信頼性の高い方法として、多くの企業に採用されています。

白色印字

白色印字は、レーザーが特定の金属と反応して白変化を引き起こすことにより、明るい背景上で高い視認性を実現します。

特に暗色の金属表面に効果的で、鮮明で繊細なディテールを表現することが可能です。

視覚的に際立つことと、その対比による識別の容易さがあるという特徴があり、自動車部品や電子機器の識別マーキングに広く用いられています。

製品の美観を損なわずに耐久性のある印字を提供します。

刷り込み印字

刷り込み印字は、レーザー技術を用いて金属に物理的な凹みを作る方法です。

最大のメリットは、刻印が非常に耐久性があり、摩擦や腐食があっても情報が消失しにくい点です。

主に産業用途で用いられ、機械部品や工具にシリアルナンバーを永続的に記録する場合に特に有効です。

表面層剥離印字

表面剥離印字は、レーザーを使用して金属表面の微細な層を精密に除去する方法です。

非常に繊細で精細なデザインが可能で、高い視認性を実現します。特に、製品の美観を損なわずに識別情報を付加したい場合に適しています。

表面剥離印字は、耐候性や耐薬品性が必要な用途にも最適で、航空宇宙、自動車、電子機器の部品に広く採用されています。

レーザーマーキング製品事例紹介

当社(加藤数物)は金属プレス加工を専門としており、自動車部品製造など厳しい品質要求にも応えられるようレーザーマーキングを活用して対応しております。

また、「hitode bracket」などの独自の製品開発にも力を入れており、これら製品にもレーザーマーキング技術を活用しています。

下記は製品事例です。

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▼詳細はこちらをご確認ください。

レーザーマーキング

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